人間の意志決定についての参考書

人間の意志決定についての参考書

印南 「すぐれた意志決定」

長前 「意志決定のマネジメント」


キーワード
1)最適化モデル(経済学)
2)満足化基準モデル (ハバード-サイモン)
3)直観モデル (ヒューリスティックスで推論)


(1)はすべての選択肢を探し、そのなかで
   最適なものを探す。

(2)は満足できるものを見つけるまで、探し続ける。自分の満足するものをみつけたらサーチ終了。

(3)は経験と記憶を頼りに意志決定する。
ただし、選択にはバイアスがかかる。
意志決定のコストは低い。スキーマ、考え方の枠組み。



スキーマの例:
 A:あなたののっている荷台にのっているのは、
   あなたの息子ですか? Yes.

B: あなたののっている荷台を押しているのは、
   あなたのお父さんですか? No.

    
Q: 2人の関係は?

 答え: 母と息子。 男性が荷台を引くという思い込みがあると判断に迷う。 


バイアスの例:
  

  • 対比効果:

   はじめにきたのをよいとしてしまう。
  

  • 特定効果:

   一点だけで、その人を判断してしまう。
  

  • 統計的なゆらぎを因果のように判断してしまう効果: 

   100点 → 75点
   0点 → 25点
  極端なものは自然に真ん中に集まる。

  コントロールできないものを自分でコントロールできると思ってしまう。

  • 自己奉仕バイアス:

  集団で仕事したとき、自分が一番頑張ったと思うこと。これが集団のコンフリクトの原因になる。
 たとえば、貢献が5,5,5,5 だったら、6,5,5,5と見積もる。

  • ギャンブラーの誤謬:

 少数例なのに大数の法則がなりたつとして行動。

  • 埋没費用のみつもり:

 たくさん投資したから、その投資を失いたくない、つづければ、なんとかなるはずだ。

プロスペクト理論
 価値は、損失と利得の非線形関数。
 
 損失側を重く評価。

  • 文脈効果:

 文脈で依存。
 損失を中心に考えるか?利得を中心に考えるか?
 600人いて、
  200人死ぬと400人助かるでは、判断が変わってくる。

  ある病気の対策:
  
  a1) 400人が必ず死ぬ。
  b1) 確率2/3で全員死ぬが確率1/3で誰も死なない。

  a2) 200人がかならず助かる。
b2) 確率1/3で全員助かるが、確率2/3で全員死ぬ。
 
  上と下で見殺しにするかと、必ず助かるものを
  見捨てるのかで、印象が変わる。


  • 代表制バイアス

 
 典型的な例、自分がすぐ思い出す例に引っ張られる。

 日本の自殺者数と他殺者数の比
  約7倍。普通はもっと低く見積もる。

 あの会社がうまくいっているから、その方法を導入すれば、わが社もうまくいく。

 → 実際に、はじめにうまくいったことは、いろいろ考えて、その制度を導入している。

 基順にひっぱられる。
 学籍番号のしも2けた →アフリカのかめいすうは? それより大小? → 学籍に近い数字。


   

  • トシオ問題

  トシオは情報工学部で画像技術を研究し、優秀な  成績で卒業した。
  つぎのうち可能性が高い順に並べよ。

 1)トシオは情報工学部の教授
 2)トシオは文学部の教授
 3)トシオは文学部で、資格情報認識の研究をしている。

  正解は123、ただし、132と選びがち、
 因果関係がはいると間違える。     
  

サイモン談:大学で教える人は、すべての科目を学部レベルまで教えられなければならない。